色色衣

「色色衣」はスピッツのアルバムタイトル名です。B面的な曲のベストを集めたスペシャルアルバムで、本来の意は「ツギハギのみすぼらしい衣」という意味らしい。ここ数日、ツギハギの衣を着ている気分のオレは、心揺らしながら日々を歩行している。TV番組「めちゃイケ」の最終回を5時間見た。最後の1時間半、泣きっぱなしだった。こんなに長時間泣いたのは久々かと思う。友人が亡くなったことを聞かされたあの時以来な気がする。母親が自分の母親(おばあちゃん)が亡くなった時に泣いているのを見た時や、親友の葬式で他の友達たちが大声で泣いていた時とも近い感覚で、普段絶対見れない岡村や加藤などの本気泣きを見たとき、彼らや彼女たちの本当の気持ちやそこに隠された想いに触れた時、それぞれの表情と言葉とそれを補う拙い想像で涙が長く出てきて、次の日は出目金みたいに目が腫れた。その翌日見た映画「人生フルーツ」も涙がこぼれた。87歳のチャーミングな奥様を残し、急遽した90歳のチャーミングな旦那様との日々はとても潔く、豊かだった。急遽の死となり、別れの言葉を奥様が発した時、切なく苦しかった。どちらもドキュメンタリーとして、一つのカタチが「終わる」までの長き過程と抱いた気持ちに触れ、自分の心の中に大きく風がふいた。

終焉に向かっている現職は、10年程の勤続年数でそれらに比べたら大したことがないのだが、時間の長さだけではなく、見えない気持ちのキャッチーボールをした人たちとの別れが近づき、最後のやり取りの数々が心に響いている。特に年齢を重ねた人たちのお別れの挨拶は、自分の考えていたやり取りとは違っていて、これまでの経験でお別れすることに慣れているのかなと思い、それなりなのかと思ったがそうではなかった。それぞれにこれまでの色んな別れを知っているから、そしてもしかしたらもう本当に会えないことも悟るからか、優しく涙脆く接してもらった。オレは今、人一倍感傷的になっているかもしれないが、ただ「人間」が好きなことを自覚する日々。俺はこれからも泣きますよ。マジックバスからセンチメンタルバスへ乗り換え完了の、2018年春です。