失恋、失望

家人からもらった、森山大道「犬の記憶」を読んだ。骨太の文章だ。写真そのものとコトバが結びついている。コトバもハードボイルドだ。生き方に骨がある。影響を周りから、いっぱい受けている。そして周りに沢山感謝している。それらを記憶している。森山さんは途中まで写真家になろうとしていなかったようだ、意識レベルでは。徐々に本気になっていく。自分への焦燥感や自分探しの繰り返す。20代前半に、東京へ出てきた森山大道さんは、己とは何かを感じとり、猛烈に走り出す。スタートラインをはっきりと超えていく。元々持っていたエネルギーや思想を満足させるがごとく。

家人に買ってもらった、向井秀徳のアーカイブ的インタビュー本を読んだ。向井秀徳はとてもかっこいい。佇まいもコトバのチョイスもギターの弾き方もシャウトの仕方もだ。えらくかっこいいヒトで、ハードボイルドさもあり、切なさもあり、怒りも感じる。センスがいいとも簡単な表現ではいえる。その根底には、失恋という恋自体や恋した相手を失った恐怖から、うまれるエネギーがあった。そこで猛烈に自己研鑽に興じる。動機をフルにガソリンとし、炎上する車は熱く、誰にも止められない。それが一番の武器だ。森山さんと同じだ。その次に感謝も続くだろう。磨かれる技術や周りからの刺激や学びの恩恵も同じく重要だ。でも一番目は動機が強くあることだと理解した。俺の人生を振り返ってみた。失ったことがいくつかある。都合の良い恋話も多い。それは何の足しになっているだろうか。渇望が唯一セカイへのドアを開く。我が子にも伝えたい。失恋や失望はけして不要じゃないよ。むしろ、そこから抜け出したとき、きっと新しい道が待っていると、この二人に基づく書ではわかりやすく教えてくれている。17歳のプレゼントとしてこの二つの本を贈ることにしよう。そのとき彼と彼女はどう思うだろうか。